ワグネルの元受刑者、帰郷し殺人 大統領恩赦で社会不安―ロシア

ウクライナ侵攻開始後、恩赦と引き換えにロシアの民間軍事会社「ワグネル」戦闘員となった殺人罪の元受刑者が3月下旬、中部キーロフ州に帰郷し、約1週間で再び殺人容疑で逮捕された。独立系メディアなどが3月30日、伝えた。制度上、恩赦はプーチン大統領の署名に基づく。
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 ワグネルは昨年秋、劣勢のロシア軍の穴を埋める形で激戦地に増派。元受刑者が中心の戦闘員約5万人中、約4万人が「戦死傷者、行方不明者、捕虜」(人権活動家)になったといわれる。生存者は自由の身になり、国内で治安悪化に懸念が高まる中、実際に犯罪が起きてしまった。

 再び逮捕された元受刑者はイワン・ロッソマヒン容疑者(28)。2019年の殺人事件で罪に問われ、翌20年に禁錮14年の判決を受けていた。刑務所から応募して戦闘に従事した後、休暇で3月21日にキーロフ州の村に帰還した。「酔っ払い、おのを持って歩き回っていた」と伝えられ、住民は「夜も眠れない」と証言していた。

 車の窓を割るといった行為でロッソマヒン容疑者は22日から数日間拘束された。地元警察署長は「また戦場に送り返す」と住民に説明していたものの、近くの町で29日に女性の遺体が見つかり、ロッソマヒン容疑者が逮捕された。

 ワグネル創設者のエブゲニー・プリゴジン氏は、戦闘を終えた元受刑者について「帰還後1カ月で再犯率は0.31%」「20人だけ」と主張。計算上、6000人以上が自由の身になったことを示唆した。根拠を示さず「侵攻前の再犯率より10~20倍少ない」と独自の見解を述べた。

 プーチン氏は昨年12月、元受刑者を含め前線にいる全員が「英雄」という認識を表明した。自ら国家勲章を授与した兵士の中に、元受刑者の戦闘員も含まれていたと伝えられている。

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